ココロの森でのおはなし
その日の夜は
ふつうの夜だったの
あまりにもね
いつもどおりだと思っていたし
だけど、胸騒ぎというか
ざわざわと見える景色は揺れていて
すれちがう人たちは仮面のようだし
わたしやっぱりどこか
おかしいのかと思ってしまって
ふつうの夜だと思ったんだけど
どこかがポキンと折れて
深い深い、暗い奥底に落ちたんだ
何もみえなかったから
恐かったんだけど
心の中に透明の石が映って
そうだわたしは、透明の石をもってることを思い出したの
それは、たったひとつ
この世にひとつしかない石で
わたしのためだけに、ノームがつくってくれたものだった
水晶のランタン
手にすると、ほんわかココロでほらね
光りだして
「さあ、行こう!」と言った
わたしは聞き返す
「どこに行くの?」
「どこって、キミはえらばれたんだよ、それは自分の選択でもあるのだけど、この旅にでる人に選ばれたんだ。ここに来たのはキミが感じていたことがおかしいことではなくて
本当のことだったんだよ。まだね、気づいている人は少ないけれどね
キミは気付いたでしょ?
キミはおかしくなんかないの
仮面を付けて生きることを選択しなかった勇気ある人なの。
だからね、これから素顔の自分を見つけに行こう。そうして堂々と自分で生きるんだ。
キミがこの光に導かれ道をつくるよ。
そうして戻って
現実を生きる時
キミはわたしになる。」
「わたしになるって??」
「キミは自分として生き輝く時
水晶になるよ。わたしのように心の中で光る存在。そして、その光は次の旅人を導くようになるよ。」
だいじょうぶ
だいじょうぶ
そうだ わたしはおかしくなんかなかった
みんなとおなじようにすることはできないし
心の声を消すこともできない
仮面は着けられない
それで良かったんだ
わたしがポキンと折れたのは
そこに心の在り処がなかったから
居場所は別にあったから
そこに行くためだったのだ
真っ暗な中で
晴れ晴れと
水晶という透明な石とわたし
ランタンで道をかざして
「さあ、進もう!」
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